| |
 |
 |
 |
 |
ふと思えば、たいへんな所に住んでいるのかもしれません。
平成8年に土地を手に入れたときも、今子供たちが森の中に「秘密基地」を造ってままごと遊びをしている感覚でした。仕事の関係で埼玉県に単身赴任していたとき、会社の同僚とドライブしながら、山の中で自由に遊べる空間を探していました。
なかなか広い土地は手に入りませんでしたが、軽井沢には沢山あったのです。南側に家が建たないで景色が変わらない、というわがままな条件で探し当てたのが「私の秘密基地」です。
しかし、ここからが大変でした。湿地の森の基礎工事は業者泣かせ。以前から知り合いだった和田村の建築家は「都市部の坊ちゃんは余計なことを言わずに黙って見てな。」と取り付く島がありません。私の秘密基地に業者おまかせの家が建ち、必死に車の運転を覚えた妻と3人の子供を引き連れ森に入って早5年。家族それぞれ地元で愉快な仲間が出来ました。
庭に蒔いた洋芝がコケと雑草に取って代わられ、近所の人から譲り受けた雑種犬のパティは氷点下20度になっても外で元気に暮らしています。庭のバンカーは子供たちの砂場になり、1月に大雪が降れば庭中が運動場のようなもの。庭のそこかしこに生えてきた「たらの芽」を天ぷらにしてビールで一杯の5月。夏だけ灯る別荘地の街灯に群がる虫とりに早朝から出陣。隔年だけれども樹齢 100年の大きな栗の木の下で栗拾いの10月。関東地方よりメリハリのある季節と自然の移り変わりに合わせて楽しんでいます。
さて、遊んでばかりはいられません。秋が深まる今、翌々シーズンの冬のために薪づくりに精を出しています。家の暖房はほとんど薪です。この薪を量販店で購入していると灯油の10倍の値段です。ですから、妻と私が色々な所からただで木を手に入れてくるのがポイントです。私がエンジン・チェーンソーと斧で薪にしたものを運ぶのは子供たちの役目。楢の木だけでなくヤニの多い唐松や樅の木も、気温が下がる12月ごろには扱い易くなります。
こちらに来て夏痩せしなくなってしまいました。その分秋の薪割りと冬のスキーで体重調整しています。私の秘密基地も今や子供たちが主役です。「歩いて通学するのに何でヘルメットをかぶるの?」、「何で夏休みが3週間しかないの?」と最初は都市部を基準に見ていましたが、どれもこの地域に根ざしたことばかりで理にかなっています。私は新幹線で通勤するなどという大変な贅沢をさせてもらっています。春秋の朝晩はハーフコートと半袖くらいの気温差があることがしばしばです。日下の悩みは週末こそ森から抜け出し遊園地などへ遊びに出かけたい子供たちと、週末こそ森の中で静かにしていたい私の折り合いをどうつけるかということです。
これから移り住もうとお考えの方は、どうか軽井沢という固定イメージだけに捕らわれず、冷静に気に入った土地の周囲を観察して家族みなの役割分担を見出すようにしてみてください。そうすれば個性的な生活が長続きすると思います。
(リゾートレター2002年冬号「SOBOのすすめ」より抜粋) |
 |
神子喜夫氏
半導体エンジニアとして仕事をし、家族(妻、長男小4、長女小2、次男年長組)と一緒に生活を創っている。 |
 |
 |
|
 |
|