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軽井沢SOBO、4つの条件
 SOBOという言葉を聞いて、スモールオフィスはわかるが、ホームオフィスのかわりにBOとは何だろう、これは多分、工房の「房」ではないかと直感した。私の知っている軽井沢の有名人は作家にしろ、画家、陶芸家、音楽家、学者、誰でも別荘で仕事をしていて、むしろ「工房」にこもっている姿がふさわしい。よく聞いてみると、SOBOのBOは「別荘オフィス」と言うことだそうだ。それも悪くない。
 先日、アメリカで投資会社をやっている30代の男がやってきて軽井沢が気に入ったという。通信やコンピュータがどの程度使える場所なのかいろいろ質問された。いわゆる情報環境が良ければ、軽井沢で仕事をしたいがという。長野オリンピックの時も、アメリカの商売人が軽井沢に泊まって日本、台湾、アメリカを結んで仕事をしていた。これからの世界を担う「知的仕事人」たちが望ましいと考えている環境は、人+自然+文化+情報インフラの4つのバランスだ。  毎年1月の終わりから開かれる「世界経済フォーラム」で有名なスイスのダボスや、様々な国際会議、研究所で知られるアメリカのアスペン、うちの奥さんが去年学会で出掛けた同じくアメリカの西海岸にある「ラホヤ」など、どこも4つの条件がそろっているリゾート地である。現在の日本の中には対抗するところがない。この軽井沢も1920年代から50年代あたりまでは国際的にも4拍子そろった環境だった。皇太子、首相、財界人が滞在していて、当時は郵便、電信、電話であったが、日本では破格の「情報インフラ」が整備されていた。今は昔の話だ。
 そこで、私自身は軽井沢SOBOの4条件を確保するためにこの10年間、自分で懸命に努力してきた。「人」については沢山の友達を誘い込み、「自然」についてはささやかながら土地を買い増しし、「文化」については大学関係者とのゼミを作り、美術館、博物館、図書館などのネットワークを作り、「情報」にはコンピュータに多大な投資をして一応のインターネット環境を構築してきた。お陰で自分でも言うのはおかしいが多くの成果を上げてきた。しかし、個人の投資には限界がある。だから私は若い経営者達に、この4つの条件を満たす地域を軽井沢の中に作ってもらいたいと思っている。その筆頭が「星野リゾート」だろう。歴史時にも星野地区はSOBOの原型が集積し、星野温泉がクリニックや教会を擁してそのセンター機能を果たしていた。今こそ、新しい時代にこの歴史をよみがえらせてもらいたい。幸いなことに、SOBOが発展していく4つの条件の必要性を最もよく理解している社長がいる。2000年、期待がふくらむ。

(リゾートレター2000年春号「SOBOのすすめ」より抜粋)
松岡温彦氏
軽井沢リゾートオフィス研究会会長。1940年生まれ。サテライトオフィスの草創、地域シンクタンク、環境、福祉、文化など各分野のNPO、NGOの育成に従事。著書に[人、われを在宅勤務社員(テレワーカー)と呼ぶ]、「遊職人種宣言」〜リゾートオフィスのすすめ〜など。
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